活動報告

国際こどもアート・フェスティバル2009 開催レポート

この事業の主たる目的は、日本の子ども達がシンガポールの子ども達と創作活動を通じて交流し、自分たちが今暮らしている世界や環境とは別の世界や環境が沢山広がっていることを、肌で感じてもらうことにありました。言い換えれば、文化とは何かを体験する事業です。

2008年に引き続き、2009年も日本の子どもたちとシンガポールの子どもたちが交流する機会が生まれました。強制するのではなく、一緒にワークショップに参加したり、街を歩くことを通じて日常の延長線上で交流することを意識しての催事でした。世界が急速に近くなり瞬時に地球の裏側の情報が流れどんどん画一化されていく世の中で、それでもそれぞれに国があり文化があることを、そしてそれがこの星の魅力であることを無意識のうちにでも子どもたちが受け止めることができるのなら、そんな欲張った思いを抱きながらの計画でもありました。

言葉という道具が最良のツールではない中で、子どもたちは遊びや歌、ダンスを通じてコミュニケーションをはかり、影響しあって3日間を過ごしました。食事が口に合わなかった子どもも、言葉が通じず歯がゆい思いをした子どもも、興奮に疲れた子どもも、大人になったらまたシンガポールへ行ってみたい、シンガポールの友たちにまた会いたいと口々に表現するのは本当の意味での交流がはかれたからでしょう。それがこれから、この子どもたちにどう影響するのか、あるいは影響しないのかもしれませんが、人生の1ページにそんな日があったという事実が「悪くないこと」なのかもしれません。また、参加したシンガポールの子どもも日本の子どもも、多くが大人と密に過ごす時間があまりない生活をしているので、今回の催事でボランティアを含めた大人と沢山の時間を過ごせたことは、心にロウソクが灯ったような出来事だったようです。そしてお世話をした私たちも、子どもたちの暖かい手のぬくもりが今も手のひらに残っているような気がします。

一度や二度、このような活動をしたからといって、目に見える効果があるわけではないことはわかっています。しかし、子どもたちが経験した「悪くないこと」が日常生活に戻ったときに新しい心の糧となり、智恵となり、生きる勇気となることを願っています。次の私たちの課題はこういう活動を細々とでも続けていくこと。継続への道のりは決して優しいものではありませんが頑張ろうと思っています。他に特段できることも無いのですから。

最後に、子どもたちとこの催事を支えて下さった皆様に心から御礼申し上げます。有り難うございました。

特定非営利活動法人 リトル・クリエイターズ